料理人-ED⑥『救いの死』
特効薬は料理人の手に渡った。それがどのような薬であるか料理人はもちろんわかっている。
彼女は4人との会話を終わらせ瓶のコルクを抜いて中身を飲み干した。
液体が喉を通って数秒経つと、彼女は自分の身体に異変を感じた。
「…体が、熱い。痛い。」
彼女は左胸を押さえてひざまづいて、その様子を見ていた4人が駆け寄った。
「レティシア、大丈夫か!?」リッキーが心配してくれた。
…しかし、応答しようにも呂律が回らなくなっている。
次に四肢の制御も利かなくなって仰向けに倒れて、
意識もだいぶぼんやりしてきた。
初めての感覚だけどこれから何が起こるか確信できる。
レティシアを囲んだ4人全員がその言葉を聞いた。
これから死ぬというのに、幸せな笑顔を浮かべる彼女を固唾を飲んで見守った。
誰も彼女を助けようとはしていない。
彼女にとっては、死ぬことこそが救いなのだろうと皆が感じ取っていた。
やがて目を閉ざして彼女は永眠した。
動かなくなった彼女の手には、彼女の昔の写真が握られていた。
「そうか。…やっと、死ねるんだ。」
吟遊詩人エンド:①君の想いと共に / ②すまない、そしてありがとう / ③君はどこへ行った? / ④孤独の詩人 /
サブ①帰る故郷がある / サブ②故郷に帰れぬ男 / サブ③数十年ぶりの故郷 / サブ④故郷を捜し求めて
少女エンド :①第二の悲劇 / ②情けない父 / ③義父 / ④もういない父を捜す旅の続き /
???エンド :①この嘘はあの世まで / ②本当の再会 / ③これでよかったのだろうか / ④災難の終わり /
料理人エンド :①2900年ぶりの祖国 / ②どうせなら賑やかに / ③悪魔の料理人 / ④罪の償い / ⑤譲ってもらえた願い /
⑥救いの死 / ⑦この世の地獄からあの世の地獄 / ⑧人類の最期を看取る女神 / ⑨料理人レティシアの人生 /
⑩語られぬ死 / ⑪近づく死 / ⑫夜伽 / ⑬葬送式 / ⑭余生 / ⑮来客の少ない店のその後 /
⑯チョコレート専門店開業! / ⑰いつもの日常 / ⑱ただ人を待つ
画家エンド :①詩吟と絵画 / ②画家の人生の始まり / ③家族だった料理人 / ④2人の画家 /
⑤幸せ涙 / ⑥本性を露わにした料理人 / ⑦永遠を生きる2人 / ⑧伝染する画家の概念/⑨幸せな老後
投票放棄エンド:①誰も知らない流浪人たちのその後 / ②いつかまた会える時まで / ③復讐なんて似合わない /