画家-ED③『家族だった料理人』
画家は最後のお願いを少女にして了承を得た。
暗い様子だった画家は少女になだめられる事で明るさを取り戻し、
画家が黒幕だと判断されていたのが嘘だったかの様に、
2人は仲良さそうに話していた。
その様子を見て吟遊詩人・???の2人も話始めた。
吟遊詩人はどこか儚げに話し、???は落ち着いたような様子で
話した。吟遊詩人・???の2人からは特に怒りの感情は感じられ
なかった。
ただ1人、料理人だけはこの世のものとは思えない表情をしていた。
「嫌、この街に居ようよ。」料理人はそう言い放ったが、
画家に聞こえている様子はなかった。
画家の視界や耳に料理人の事などちっとも入っていないのだから
彼が反応するハズがない。彼は少女との会話に夢中だった。
「レティシアの作ってくれたチョコが美味しくて…」画家は少女にそう言う。
「君がそういうんだから私もそう思うよ!」少女も賛同する。
料理人の声は画家に届いていなかった。
そして、少し離れた位置にいた吟遊詩人は目撃する。料理人が調理道具を握りしめて涙目になって
身体が震えている様子が。
???も同様に料理人の危険な様子を
察知して身構えていた。
仲良く話し続ける画家・少女
その背後で身体を震わせて
涙目で立っている料理人、
少し離れた位置から料理人を
警戒する吟遊詩人・???
場は膠着状態になり
しばらく時が流れていた…
そして、画家が声を出す。
「レティシア!チョコレートについてなんだけどまた欲しい…」画家がそう声にした時、
「さよなら!」料理人が食い気味に大声で叫んだ。その声は儚く、哀しく、この世全てに絶望したような声だった。
そして料理人は調理器具をその場に手放してセントラルシティの街中から駆け足で消えて行った。
ここまでは、精神が不安定になった料理人が見聞きした幻であった。料理人以外の4人は既に話を終えていたのだった。
「レティシア、どこ行くんだ?!」画家がそう呼びかけるが、料理人は闇に消えて二度と姿を現す事はなかった。
吟遊詩人エンド:①君の想いと共に / ②すまない、そしてありがとう / ③君はどこへ行った? / ④孤独の詩人 /
サブ①帰る故郷がある / サブ②故郷に帰れぬ男 / サブ③数十年ぶりの故郷 / サブ④故郷を捜し求めて
少女エンド :①第二の悲劇 / ②情けない父 / ③義父 / ④もういない父を捜す旅の続き /
???エンド :①この嘘はあの世まで / ②本当の再会 / ③これでよかったのだろうか / ④災難の終わり /
料理人エンド :①2900年ぶりの祖国 / ②どうせなら賑やかに / ③悪魔の料理人 / ④罪の償い / ⑤譲ってもらえた願い /
⑥救いの死 / ⑦この世の地獄からあの世の地獄 / ⑧人類の最期を看取る女神 / ⑨料理人レティシアの人生 /
⑩語られぬ死 / ⑪近づく死 / ⑫夜伽 / ⑬葬送式 / ⑭余生 / ⑮来客の少ない店のその後 /
⑯チョコレート専門店開業! / ⑰いつもの日常 / ⑱ただ人を待つ
画家エンド :①詩吟と絵画 / ②画家の人生の始まり / ③家族だった料理人 / ④2人の画家 /
⑤幸せ涙 / ⑥本性を露わにした料理人 / ⑦永遠を生きる2人 / ⑧伝染する画家の概念/⑨幸せな老後
投票放棄エンド:①誰も知らない流浪人たちのその後 / ②いつかまた会える時まで / ③復讐なんて似合わない /