少女-ED③『義父』
少女は一人で旅に出た。
それは今に始まった事でなく、数年前の出来事だ。
故郷で母を失い天涯孤独となった彼女は、1人の男を探していた。
それは父だ。
父を追い求め数千マイル、途方に暮れる長旅だった。
廃れた街、道路、景観、人と出会う事は全くなく
寂しかった記憶しかなかった。
それでも、服職人をはじめとした色んな人々と
友人となり、彼女らの助けを借りてここまで
長旅を続ける事ができた。
「きっとこの方向へ進んでいけば、たどり着けるはず!」
ロシオは、そう信じ歩き続けた。
大陸を横断する彼女はやがて
"筆談"を用いて、父を捜すようになった。
しかし、父がこの場所を訪れるはずもなく
反応すらしてもらえない事がままあった。
「もう、何度書いてきたかなぁ。本当にこの方向であっているかなぁ。」
彼女は心が折れかけていた。
各地にそのような筆談を
数百、数千と書き連ねても
目に入る事は奇跡に近い。
やがて、少女はセントラルシティ周辺へやってきた。
この辺りでは特に父に関する情報がよく見られ、
人も多く賑わっているため数週間滞在をした。
ちょっと自意識過剰だけど、陽気な吟遊詩人。
気ままに絵を描き、人々を楽しませる画家。
親切に食事を作ってくれる料理人。
セントラルシティで出会った人達は、本当に親切な人達であった。
でも、彼女の目当ての人物は中々見つからなかった。
それでも彼女はなお、筆談を描く事をやめなかった。
少女はいつも、このような筆談を
描き記していた。
『私を見て!
私は父を捜しています。とある場所を
旅立ってここへ来ました。
もしあなたが14年前に3歳の娘と
生き別れになっている事を覚えていれば
14年前にどこを旅立ったか教えて下さい。
私は月に1度この紙の筆談を見に来ます。
↑の筆談の筆者は私だよ!
私の名前はロシオ! 』
やがて、少女はセントラルシティでの出来事を通して、???が捜し続けていた人物であった事を理解した。
少女「父ではないのに、私の事をこんなに思ってくれている人がいるなんて。」
???「君の事を1人にしてしまい、申し訳なかった。」
お互いの事はまだよく知らないが、すぐに打ち解けていっただろう。
荒野を2人で歩きながら、どこかへと旅立って行った。
そうして、少女の『父を探す旅』はここで本当の終わりを迎えた。
本当の父を見つける事は叶わなかったが、???こそが父だったのだから。
吟遊詩人エンド:①君の想いと共に / ②すまない、そしてありがとう / ③君はどこへ行った? / ④孤独の詩人 /
サブ①帰る故郷がある / サブ②故郷に帰れぬ男 / サブ③数十年ぶりの故郷 / サブ④故郷を捜し求めて
少女エンド :①第二の悲劇 / ②情けない父 / ③義父 / ④もういない父を捜す旅の続き /
???エンド :①この嘘はあの世まで / ②本当の再会 / ③これでよかったのだろうか / ④災難の終わり /
料理人エンド :①2900年ぶりの祖国 / ②どうせなら賑やかに / ③悪魔の料理人 / ④罪の償い / ⑤譲ってもらえた願い /
⑥救いの死 / ⑦この世の地獄からあの世の地獄 / ⑧人類の最期を看取る女神 / ⑨料理人レティシアの人生 /
⑩語られぬ死 / ⑪近づく死 / ⑫夜伽 / ⑬葬送式 / ⑭余生 / ⑮来客の少ない店のその後 /
⑯チョコレート専門店開業! / ⑰いつもの日常 / ⑱ただ人を待つ
画家エンド :①詩吟と絵画 / ②画家の人生の始まり / ③家族だった料理人 / ④2人の画家 /
⑤幸せ涙 / ⑥本性を露わにした料理人 / ⑦永遠を生きる2人 / ⑧伝染する画家の概念/⑨幸せな老後
投票放棄エンド:①誰も知らない流浪人たちのその後 / ②いつかまた会える時まで / ③復讐なんて似合わない /